〇第12:提婆達多品(だいばだったほん)
 この品は、二つの部分に分かれています。前半は、釈迦教団の和合を破り、お釈迦さまの お命までも奪おうとした提婆達多を、前世の物語にことよせて「わたしが仏となれたのも 提婆達多のおかげである」とお説きになり、かれにも授記されたくだりであります。ここには、 「我を捨てた澄みきった心になっておれば、身にふりかかる災害さえも悟りの素因になる」と いう教訓と、「いかなる大悪人にも仏性はあるのだから、その仏性を自覚し、磨き上げていけば、 必ず人格を完成することができるのだ」という教訓が込められています。  後半には、「畜身の幼女(竜女)でも、素直な心で仏の教えを信受すれば、仏の境地にも 達することができる」と説かれています。幼子のような心で仏さまの教えを信ずれば、その 瞬間から、われわれは久遠本仏と融け合い、一体になることができます。<信>こそは 三千大千世界に匹敵するほどの値打ちがあるのです。  なお、この女人成仏ということですが、ほかの国々とだいたい同じように、昔のインドでは、 女子は、男子より仏の大慈大悲にあずかり難い存在とされていました。その女子でも、人間最高の 状態である仏になれるというのですから、まことに画期的な宣言であって、世界歴史の上で 男女平等が明らかに唱えられた第一声であると言うことができましょう。

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